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自治体コンサルティングの質はなぜ低いのか~PPPの導入等に当たってコンサルタントを活用する際の留意点~

マネージングディレクター 松浦 年洋

他の自治体の職員や中央官庁の官僚などと、コンサル関連の話をしていると、決まって彼らが口にすれのは、「コンサルは使えない」ということです。

これまでも、パブリシヴァでは、PPPの導入に当たっては、コンサルタント(アドバイザリー)を活用する際に、必ずしも費用対効果という点で、期待する成果が生じない可能性があることについて言及してきました。

現状では、自治体もコンサルタントも試行錯誤であるため、やむを得ない面も確かにあります。しかし、そうしたこと以外にも、自治体側に次のような改善点があることも事実であると考えています。

①コンサルタントを活用するタイミングや内容についての検討が不十分
②最終的な成果物に対するイメージの醸成が不十分
③結論に対する仮説を持っていない
④提出されたレポートを十分にチェックできない
⑤自治体の担当者の当該事務に対するコミットメントが不十分

です。

これらは、自治体側に改善余地があることの一例にすぎません。
コンサルタントがこれまで果たしてきた役割については、過日公表された、内閣府の「PFI推進委員会報告 -真の意味の官民のパートナーシップ(官民連携)実現に向けて-」において提言されているとおり、評価されてしかるべきでしょう。

しかしながら、今後のPPPマーケットの成熟のためには、適切なタイミングで適切な内容についてコンサルティングを依頼するための、いわば「ガイドライン」が必要になると考えています。

このガイドラインの策定自体は、マーケットを制約するものではなく、自治体にとっては、コンサルタントがその専門性を十分に発揮し費用対効果を実現し、コンサルタントにとっては顧客である自治体の満足度が向上するという、Win-Winの関係を生み出すことに貢献すると思います。

では、前述した6つのポイントについて検討していきましょう。

コンサルタントを活用するタイミングや内容についての検討が不十分

コンサルタントの委託経費は、調査を実施する前年度の予算編成作業の際に、次年度に必要となる調査委託費として予算要求されます。このため、この時点である程度の調査概要と費用の見積もりをしなければなりません。
この時間的なギャップのために、中身についての調査委託の議論を深めることなく、予算の積算を行わざるを得ないということが多いのではないでしょうか。
依頼されるコンサルタントとしても、調査の目的・内容、自治体とコンサルタントとの役割分担、次フェーズの作業との関連性、スケジュール等について具体的な情報が必要となります。こうした点について事前に明確にされていなければ、最終的に期待していた成果物を提供することは難しいでしょう。

こうした問題が生じないようにするためには、単に他の自治体の類似事例を参考として調査内容等を定めるのではなく、事前に主要なコンサルタントに対し、過去の類似事例に関する実績や役割分担に対する考え方、さらにはスケジュールについてヒアリングを行うことが効果的です。他の自治体の事例を参考にした場合、必要事項が網羅できたとしても、個々の調査の必要性や他の調査項目との関連性について検討したことにならないのです。

最終的な成果物に対するイメージの醸成が不十分

最終的な成果物のタイトルは、「報告書」でも「調査レポート」でも何でも構いませんが、調査委託の結果として、「何が明らかにされていなければならないのか」という点については明確にしておく必要があります。

これには、3つの段階があります。

①単に事実が明らかになれば良いのか
②事実から読み取れる情報まで必要なのか
③さらにその情報から次に何をすべきかという提案まで必要なのか

ということです。
一般的には②が多いと思いますが、留意すべきなのは、得られた情報によっては、複数の意味合いが読み取れる場合があるということです。
良くある例としては、コップに半分しか水が入っていないと考えるのか、半分も水が入っているのか、というものがあります。自治体、コンサルタント双方とも、結論を支持する上で都合良く解釈する傾向がありますので、十分に注意が必要となります。
結論に対する仮説を持っていない

これも良くあることだと思いますが、結論に対する希望的な観測ではなく、論理的に考えた場合に想定される結論を持っている必要があります。仮説を持たないことによって無駄な作業を委託内容に含めてしまうこともあるでしょうし、前述した情報の持つ意味合いについて、コンサルタントの見解を鵜呑みにしてしまう可能性もあります。

「落としどころ」という言葉を使うことがあります。仮説を持つということとは意味合いが異なりますが、「ある程度の見込みを付けて作業を進める」という点では、さし当たりは似たようなものだと考えていただいて差し支えないように思います。要は、ある程度、結論に対する見込みを持つということです。

提出されたレポートを十分にチェックできない

時間的な制約もありますが、むしろ、ここまで検討してきたことと関連があります。
まずはコンサルタントから提出された報告内容を鵜呑みにしないことです。またコンサルタントによっては非常に文章が稚拙である場合があります。この場合の稚拙さは、主として文章の構成力にあります。まずは、見出しを追いかけながら、自然な流れになっているかどうかをチェックしましょう。また、ここでは説明は割愛しますが、一般的なレポートに必要な項目があります。
タイトルはもちろん、調査の目的や方法、結果の概要、参考文献などがそうです。まさかと思われるかもしれませんが、実際、私が関わったコンサルタントの場合ですが、レポートを全面的にリライトせざるを得ないことがありました。
こと役人のビヘイビアーとして、細かな言葉遣いに目が行きがちですが、こうしたところのチェックも重要なポイントとなってきます。

自治体の担当者の当該事務に対するコミットメントが不十分

これは総括的な話になってしまいますが、要はコンサルタントに「丸投げ」すれば、魔法のように答えを出してくれるような錯覚は持つべきではない、ということです。基本的には、自治体側が発注者としてイニシアチブを取るべきだと考えています。その結果として、自治体とコンサルタントとの役割も明確になり、コンサルタントも専門分野に集中することができるのです。

今回は、コンサルタントを活用する際の留意点について概観したにとどまりましたが、前述したとおり、内閣府でも「ガイドライン」の策定について検討する必要を認識していることから、今後そうした動向を見つつ、さらに実務的な観点からの情報提供をしていきたいと考えています。