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病院PFIの新たな展開(その4)~PFIに逆風は吹いているか~

マネージングディレクター 松浦 年洋

国内のある大手シンクタンクの主席研究員の方のレポートを拝見しました。PFIをめぐる環境が厳しく、現状では官民双方にとって大きな損失が生じる可能性があるとの論旨でしたが、あまりにも稚拙な主張に大変がっかりしてしまいました。

確かに、ここのところ、PFIに関するグッドニュースはあまり耳にしません。むしろ、近江八幡市民病院の事例をきっかけに、PFIをめぐる課題が噴出しているようにも思います。同レポートでは、こうした状況を踏まえて、PFIに対する「逆風を感じる」と述べられていますが、あくまでも主観的なものにすぎません。

パブリシヴァが最も懸念していることは、PFIがかつての自治体のITブームのような「一過性」のものとして捉えられてしまうことです。

しかしながら、民間活力を活用するとの流れ自体は止めようがないでしょう。ただし、その際の手法として、必ずしも現状のようなPFIのスキームが生き残るかどうかは別です。

この点について、三井物産戦略研究所の美原融氏は、日本のPPPをめぐる現状を「玉石混交である」と評した上で、PFI、指定管理者制度、市場化テストなどの一連の制度を単独のスキームとして活用するだけでなく、さまざまな組み合わせを考えるべきであると述べています。

PFIを含む現状のPPPに対するパブリシヴァの評価は、日本におけるPPPの第二ステージへ向けて、第一ステージでの課題を十分に検証する時期であると考えています。したがって、同レポートで述べられているようなPFIに対する「逆風」は全くの錯覚ではないでしょうか。

さらに、同レポートでは「契約の範囲内で軌道修正ができないなら思い切って契約を解除して、関係者は堂々と新たな事業手法の検討を行ってもらいたい」と述べられていますが、あまりにも無責任な見解です。

契約の解除による損失は図りしれません。なによりも、施設利用者に対する配慮が全く欠如しています。また契約の解除という事態が、同レポートで述べられている「逆風」をさらに助長する可能性は極めて高いと考えます。

PFIなどのPPPの導入に当たっては、依然として根強い反対勢力が存在します。こと自治体は議会筋からのプレッシャーに大変弱いことを改めて認識すべきです。

今述べたような、利用者や自治体に対する配慮、あるいは視点が欠けていては、とても「トリプルウィン」などが実現するはずがありません。

繰り返しになりますが、現状で必要なことは第一ステージの振り返り作業です。
パブリシヴァは、PPP分野におけるアドバイザリーの役割は、今後、極めて重要になるものと認識しております。大手シンクタンクともなれば、官民双方に与える影響はたいへん大きなものがあります。官民のパートナーシップの確立に貢献し、トリプルウィンを実現するためにも、アドバイザリーには、関係者に十分に配慮した発言が求められていると思います。